
アックスタイムズでは、バイオものづくりのなかでも次世代の技術領域に焦点を当てた「次世代バイオものづくり産業の技術・市場・政策分析 及び 事業戦略立案支援調査 2025年版[市場・政策分析編]」を、2025年6月27日にリリースしました。
今回、本調査を担当したリサーチャーに対するインタビューを実施しました。
聞き手:アックスタイムズ株式会社 広報担当
話し手:アックスタイムズ株式会社 調査担当
今回発刊されたレポートのテーマについて
――最初に、今回発刊されたレポートのテーマについて教えてください。
今回は、バイオものづくりをテーマにレポートを作成しました。
具体的には「次世代バイオものづくり産業の技術・市場・政策分析 及び 事業戦略立案支援調査 2025年版[市場・政策分析編]」というレポートです。
バイオものづくりとは、微生物や酵素などの生物・生体機能(バイオ)の力を利用して、プラスチック原料、食品、医薬品、燃料など、さまざまなものを製造(ものづくり)する技術です。
アックスタイムズでは、2024年にもバイオものづくりに関連したレポートとして「次世代バイオものづくり産業の技術・市場・政策分析及び事業戦略立案支援調査 2024年版」を発刊しておりますが、注目度の高いテーマとして、2025年版を新たに発刊しました。
![次世代バイオものづくり産業の技術・市場・政策分析 及び 事業戦略立案支援調査 2025年版[市場・政策分析編]](https://axetimesbiz.com/wp-content/uploads/2025/09/research-report_29_2025-06_v2.jpg)
先端技術を用いた次世代バイオものづくりが注目されている
――バイオものづくりに関するレポートは2024年版も発刊していますが、前回版との違いや2025年版の特徴を教えてください。
弊社では、バイオものづくりをテーマ化し、継続して調査を行っています。2024年版では、主に工業化学の分野を中心にレポーティングしました。
今回の2025年版では、工業化学以外にも調査対象を拡大し、繊維、食品、農業、肥料、化粧品、香料、医薬品、燃料の分野についても調査を行っています。
また、レポートのタイトルにもなっている「次世代バイオものづくり」に重点を置いて調査を実施した点も2025年版の特徴となっています。
――「次世代バイオものづくり」とはどういったものですか?
バイオものづくりの技術は古くからあり、身近なものでは、味噌やヨーグルトなどの発酵食品なども微生物の力を利用しているという点ではバイオものづくりと言えます。
一方で、今回重点を置いた「次世代バイオものづくり」とは、合成生物学や遺伝子改変などの先端技術を用いながら、AIやロボティクスといったDX技術を組み合わせることで、より高度なものづくりを実現する取り組みです。
従来からの技術も重要な位置づけですので、2025年版でも調査対象としています。そのうえで、今後のトレンドとして注目度の高い次世代の領域を特に意識しながら調査を行っています。

事業推進を担う担当者の悩み・課題を解決する
―――今回2025年版として改めて調査を行った背景を教えてください。
日本政府もバイオものづくり産業の育成を国策として推進しています。直近では、大阪・関西万博においても、バイオものづくりに関連する展示が複数見られ、社会的にも注目度の高さがうかがえます。
一方で、自社の事業や技術開発、ビジネス戦略に落とし込むには多くの課題があります。例えば、次世代バイオものづくりに関する深い知見や業界経験を持つ役員・決裁者・同僚が社内に少なく、社内調整や意思決定の合意を得ることが難しいといったものです。
また、注目度の高さから今後市場が伸びていくこと自体は感じとっているものの、新しい技術であるがゆえに、自社にとって参考となる情報を捉えきれず、時系列をふまえた市場動向の見通しや、将来像を具体的に想定することが難しいという課題もあります。
こういった事業推進を担う事業担当者の悩み・課題は、2024年版の時点から、複数の方からお伺いする機会がありました。その悩み・課題の解決に資する情報を提供するためにも、2025年版として改めて調査を実施しました。
―――本レポートのポイントを教えてください。
前述の課題を解決するためにも、本レポートのポイントを3つお伝えしたいです。
1つ目は、社内に次世代バイオものづくりに詳しい人がいなくても、本レポートを活用することで、分かりやすく説明することができるようになります。俯瞰的な視点から業界キーワードまで、体系的に捉えていただきつつ、関連部門や決裁者への情報発信に効果的に活用いただけます。
2つ目は、2050年までの市場規模の予測や、時系列や技術間の関連性を踏まえた技術ロードマップなど、中長期的な視点で今後の動きを整理している点です。調査結果をベースとして、自社の戦略・マイルストーンと照らし合わせながら情報を活用できます。
3つ目に、技術開発を進める大企業・スタートアップの動向や主要国の政策を整理している点です。企業事例や制度設計から、次世代バイオものづくり産業を理解するための市場のトレンドを把握することができます。

様々な業界の生の声をもとに調査を実施
――本レポートの作成にあたり、具体的にどのような調査や分析を行いましたか?
レポート作成にあたっては、まず次世代バイオものづくりの定義や全体像を整理し、分野別の市場動向を体系的に分析しました。分析においては、化学メーカーや食品メーカーなどの大手企業や技術開発を進めるスタートアップなど、幅広い業界関係者の方へ取材を実施し、業界の生の声を踏まえて調査を進めました。
大企業やスタートアップが示す次世代バイオものづくりの現状
――今回の調査で注目すべきリーディング企業やスタートアップの動きはありましたか?
まず注目すべきは、日本を代表する大企業でも次世代バイオものづくりの技術開発が積極的に進められている点です。
市場が拡大期のまえの段階では、スタートアップによる技術開発が着目されがちですが、トヨタ自動車や花王などのナショナルブランドを展開する企業でも、バイオものづくり産業と親和性のある自社技術を保有していたり、新技術開発を進めていたりします。これはアメリカや欧州でも同様で、グローバル市場において大企業の投資が進んでいます。
加えて、スタートアップによる技術開発も着実に進展しています。社会実装の手前段階の基礎的な研究やラボスケールの小規模な展開にとどまらず、量産化に繋がる事業展開の動きもみられます。
スタートアップの展開がラボスケールから実社会に近い領域にまで移行しているということは、特色のある技術や先進的な技術・研究成果が産業・社会に入り込み始めていることを示しており、非常に興味深い調査結果となりました。
バイオものづくりの世界市場は2040年150兆円まで拡大
――次世代バイオものづくりの市場は今後、拡大していくのでしょうか?
着実に拡大していくと分析しています。今回の調査として、以下のグラフで示す通り、グローバル市場において2040年には150兆円にまで拡大すると推計しました。

現状では、先行している分野とそうでない分野がありますが、今後は様々な分野でバイオ化が進み、大きく市場が伸びていくと見込まれます。
市場拡大には、2つの方向性があります。
1つ目は、脱炭素化や持続可能性をキーワードとした市場拡大です。例えば、化石燃料を使った生産プロセスでは、生産工程でCO2が排出されます。バイオ化を図ることで、環境負荷を低減した製品の開発が可能になります。世界の主要国が国際公約として推進を図っている脱炭素化・持続可能性の文脈において、需要の拡大が見込まれます。
2つ目は、 バイオものづくりでしか生み出せない新たな価値の創出です。市場拡大において、非常に重要なキーワードだと考えています。合成生物学や遺伝子改変などの技術を活用することで、従来にはなかった性能を持つ製品を生み出すことが可能になります。既存製品と同スペックのものを展開するのではなく、新しい価値による高付加価値化によって、新たな市場が創出されます。

市場拡大において「コスト」が課題
――市場が拡大していくなかでハードルはあるのでしょうか?
さまざまなハードルや課題を本レポートでは分野別に整理していますが、代表的なハードルの1つとして挙げられるのはコストです。
例えば、工業化学において、石油化学ベースの製品は低コスト、高品質、大量生産を実現できる技術の追求が進んでいます。一方で、原料をバイオ由来に切り替えると製造コストが数倍に跳ね上がる可能性があります。コスト増は、製品を購入する消費者への価格転嫁を含め、需要する側にとっては製品を受け入れにくい理由の一つとなってしまいます。もちろんコスト増が永久的に続くのではなく、コスト低減に繋がる技術開発や、大量生産の実現による単価の低減が期待されます。
また、政府も非常に重要な役割を担っています。政府は、予算措置や補助金といった金銭的な支援に加え、流通を促進する施策や、環境価値を定量的に証明するルールメイキングなど、制度設計の面から課題解決を支援する動きがみられます。
本レポートでは、コスト面を含めたバイオものづくりの課題にも着目することで、事業推進に繋がるように調査を実施しています。
アライアンスによる相乗効果が鍵
――今後の展望についてはどのような期待を持っていますか?
本調査を実施して、大企業やスタートアップ、大学、研究機関、政府などの動向が見えたことで、バイオものづくりが産業として成長していくことを実感しています。
ただし、その成長を着実なものにしていくためには、個々の取り組みだけでは不十分だと感じており、各企業や機関が連携し、相乗効果を生み出すことが不可欠だと思います。
企業間のアライアンスによる事業推進だけでなく、政府の制度設計も相乗効果の要因として加わることで、産業としての安定した成長を期待したいです。
9月に130社の企業事例をまとめたレポートも発刊予定
――6月に発刊した[市場・政策分析編]に続き、9月にもレポートを発刊予定と伺っています。どういったレポートが発刊されるのでしょうか?
9月に発刊予定のレポートでは、130社の具体的な企業事例を調査しており、1社あたり2ページの企業個票としてレポーティングしました。
130社の内訳として、スタートアップが90社、大手企業が40社の事例を掲載しています。国別では、日本が50社、米国が40社、欧州が30社、中国・韓国・台湾・その他で10社となっています。各社が独自な技術や事業展開を行っているのですが、共通して、今後のバイオものづくりの市場トレンドを把握することに繋がる代表的な企業を選定できていると思います。
企業事例から具体的な動向を把握し事業推進力を強化できる
――発刊予定の企業事例のレポートはどういった内容でしょうか?
企業事例のレポートでは、厳選した130社を共通のフォーマットで整理しており、例えるなら、世界中の有望企業が集結したバイオものづくりの展示会に参加しているようなものです。実際のリアルな会場で130社がブースを出展していたとしても、しっかりと話をきいて回れる企業は1日あたりおそらく十数社ほどで限定的だと思います。本レポートであれば、130社について、統一した調査項目・品質・ボリュームで、なおかつ日本語で情報を得ることができます。加えて、全体の傾向をまとめた分析も実施しており、情報整理の手間を省き、事業推進に役立つ情報を捉えていただけます。
――企業事例のレポートだけでも大変価値があると思いますが、[市場・政策分析編]と関連について教えてください。
2024年版から2025年版を通じて、バイオものづくりについて体系的な理解を得て頂くことで、自社にとっての方向性を見いだすことができると思います。そのうえで、具体的な企業事例からは、自社の事業にとって必要なアライアンス先や、学びにできる具体的な企業の動向まで把握できるようになると思います。つまり、「正しい方向性」を見据えつつ、「事業を推進する契機・ドライブ力」にも繋げていただけるように期待しています。
製造業を中心に、幅広い業界のお客様にご購入いただけている
――今回のレポートは2025年6月27日に発刊したとのことですが、反響はいかがでしょうか。
おかげさまで、多くの企業からお問い合わせやご購入をいただいており、バイオものづくりは今、非常に注目されているテーマだと改めて感じております。実際に情報を必要としている企業の多さから、この分野への関心の高さと期待の大きさを感じました。
――具体的にはどういった企業・部署の方がご購入されているのでしょうか?
化学メーカー、繊維メーカー、食品、飲料メーカーなど幅広い製造業の企業からご購入いただいており、製造分野に限らず、バイオものづくりに関する技術を持つ企業や、今後ソリューションや課題解決のノウハウを提供したい企業などからも多くのお問い合わせをいただいています。
また、技術開発部門だけでなく、技術戦略、マーケティング、環境関連など、周辺の幅広い部署の方々からもご関心を寄せていただいております。
レポートの内容はオンライン面談サービスで確認できる
――今回のインタビュー記事を通じて調査結果に関心を持たれる方がたくさんいらっしゃるかと思います。購入前にレポート内容を確認する手段はありますか?
ご関心をお寄せいただけることは、調査を担当したリサーチャーとして大変嬉しく思っております。
アックスタイムズでは、ご購入をご検討いただける方に、調査を担当したコンサルタント(リサーチャー)とのオンライン面談サービスをご用意しています。
このサービスでは、オンライン会議システムを通じて実際のレポートを画面共有しながら、ご購入前に内容をご確認いただけます。単にレポートが事前に確認できるだけではなく、ご購入を検討されている企業様・部署様がお知りになりたいポイントを踏まえた上で、レポートの活用方法をご案内します。
ご希望の方は、アックスタイムズの専門家が対応させていただきますので、お気軽にお問い合わせください。
以上
注:このインタビューは2025年9月4日に実施されました
聞き手:アックスタイムズ株式会社 広報担当
話し手:アックスタイムズ株式会社 調査担当
この記事の元となる「体系的に整理された調査報告書」について
次世代バイオものづくり産業の技術・市場・政策分析 及び 事業戦略立案支援調査 2025年版[市場・政策分析編]
![次世代バイオものづくり産業の技術・市場・政策分析 及び 事業戦略立案支援調査 2025年版[市場・政策分析編]](https://axetimesbiz.com/wp-content/uploads/2025/09/research-report_29_2025-06_v2.jpg)
発売日
2025年6月27日
体裁
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調査・制作
アックスタイムズ株式会社
税込価格
99,000円(税抜90,000円)~